モラトリアム映画であり、それ故の若者たちのロードムービー。
若くもないのにいつまでこういう映画好きなんだろうな〜と思いながら…でも仕方ない、好きなんだもんとしか言えない。
アンソニー・チェンの作品は初鑑賞だが、今作のカメラの置き方が特に気に入った。
適切な距離感で人物を捉えているし、街並みも自然さも堪らない。
ロケーション選びも完璧で、朝鮮語と中国語が入り混じる国境近くの延吉という場所。最高。
『少年の君』、『ソウルメイト』でお馴染みのチョウ・ドンユイが今作でもチャーミングでした。
侯孝賢の『ミレニアム・マンボ』や、三宅唱の『きみの鳥はうたえる』を想起する人は多いと思う。
男2女1の複雑性に頭を抱えながらも、それでも3人が各々向き合ってこなかったであろう問題が溶け合っていく瞬間を見て、やっぱ出会いって大切だ!と改めて感じる。
こういう能動的に人生を掴みにいきたいと思えるきっかけになるような映画が好きだ。
ひとつだけ不必要かも?なミスリーディングな演出もあるにはあるが、最後は爽やかな感動で気持ちが満たされる快作。
あー、料理も美味しそうだった…お腹空く。
[2024年 159本目]