春画についてアカデミックな講釈を教える側の先生と教わる側の女性のほんわかした物語をポスターから感じ取っていたが、そこはやはり塩田明彦監督オリジナル作品。『月光の囁き』のような男と女のSとMの関係に発展していく。前半、今の時代的にそぐわない描写に若干嫌悪感を抱きつつも、その描写も後半にかけて立場が一変していくことを際立たせるためのしかけだったのかと納得。後半のある春画作品を巡り女性が犠牲を払うシーン、それこそ前作『麻希のいる世界』にも共通する監督らしい描写のひとつ。弓子という女性がこれまで暮らしてきた人生からの目覚めに至る過程の描き方などちょっと強引な印象もあるが、まあそこも塩田監督らしいなと。
