シチュエーション・スリラーとモンスター・パニックの融合で、96分というタイトな時間なかなかハラハラさせられた。もっとド迫力なアクション映画かと思いきやけっこう静かな映画で、冒頭の玉突き事故とクライマックスの橋崩落以外のところは、たまたま居合わせた生存者がそれぞれの特技を活かして脱出を試みるというスリラー要素が強め。偶然にしてはその特技が都合良すぎるだろうとか、「エコー」が軍人ばかりで割と市民襲わないぞ?という突っ込みはいれたくなったけど、後ろは崩落、前は有毒ガス、空には霧が立ち込め生存者は完全孤立という状況を活かした閉塞的な状況下で生き延びるためにリスクを冒すシーンでは息を呑む緊張感のものもあり、テンポの良さも相まってかなり楽しめた。同時にポリティカル・スリラーの要素もあって、これがけっこう本筋に絡んでくるので面白い。政治的判断において何が正義なのかという問いをさらりと投げかけてくる。真新しさはないけれど、手堅く楽しめる作品で観応えは十分。
何かとずる賢くいけど憎めないレッカー車の運転手がいいコミックリリーフになっていてよかった。