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ニューポート・フォーク・フェスティバル 1963~1965のmimagordonのレビュー・感想・評価

4.8
ボブ・ディランは常に変化している。それこそがボブ・ディランであることなのは今になってみれば周知のことだが、63年から65年にかけてのニューポート・フォーク・フェスティバルに絞ってディランのパフォーマンスを観ることで、ディランが意図したかどうかに関わらず、フォーク・ムーブメントの頂点と終焉を彼が飾ったのだと思わせる、63~64年、皮肉とユーモアに満ち笑顔で歌うアコースティック・フォークから、65年革ジャンに身を包み、聴衆に叩きつけるかのように歌うエレクトリックなステージに変わるちょうどその頃、カウンター・カルチャーのあり方も変わり始めていたのだと思う。ブーイングには諸説あるし、本編後の監督マレー・ラーナーのインタビューによれば、歓声やらいろんな声が混じって、その中にブーイングもあったという印象と語っていたから、「神聖なフォークの祭典にエレキを持ち込んだ」というのは違うように思う。ただ、アコースティックなサウンドが主なフェスティバルで、マイク・ブルームフィールドのリードギターは相当な轟音に聞こえたに違いない。近現代アメリカ史上最も大きなカルチャー・ムーブメントにおいて決してはずせない一端が切り取られている。もちろんディランのパフォーマンスは圧巻なので、ライブ・フィルムとして観ても遜色ない出来。
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