フランス人画家ピエール・ボナールとその妻マルトの知られざる半生を美しい映像で描いた伝記映画。良作でした。
印象派に続くナビ派の代表格で、日本美術から大きな影響を受け「ナビ・ジャポナール(日本かぶれのナビ)」とも呼ばれたというブルジョア出身のフランス人画家ピエール・ボナールと生涯の伴侶となるマルト。1893年パリでの出会いから、第一次世界大戦をはさみ晩年までの二人の波乱に満ちた関係を描いた実話ベースの作品。
マルト役のセシル・ドゥ・フランス、ボナール役のバンサン・マケーニュが素晴らしい名演。
女好きのボナールに翻弄された美術学生ルネ役のステイシー・マーティンも魅力的。
二人が暮らす美しい環境の家に集まる、クロード・モネ、エドゥアール・ヴュイヤールといった画家たちとの交流や、男関係がお盛んなパトロン、ミシア・セールの存在もユニーク。
ボナールについてもその作品もほぼ知らなかったですが、興味深かったのは、絶望的な状況に置かれたマルトが描き出した作品群。実際に一度パリで個展を開いたようですが、ボナールの生涯のミューズの特別な才能が垣間見えました。
このジャケ写にある、ボナールが1947年に亡くなる1週間前に描かれたという最後の作品『花咲くアーモンドの木』にまつわるシーンも印象的。