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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊のQIのレビュー・感想・評価

3.6
“あなたはどう生きるの?”

『オリエント急行殺人事件』
『ナイル殺人事件』
に続くケネス・ブラナー=ポアロ3作目

昔クリスティは読み漁ったので原作「ハロウィン・パーティ」は間違いなく読んでいるのに、あれっ?こんな話だったっけ?

…と思ったら案の定、相当原作から改編されていて、舞台もベネチアへ変えられているとのこと

確かにベネチアはとても絵になる町で、昔から多くの映画の舞台になっていますが、本作で起きるオカルティックな事件の舞台にはピッタリ

映像的にもその美しい街並みを見事にとらえただけでなく、事件が起きる屋敷内での観客の不安を煽る独特な構図とカメラワークで大幅にミステリー度があがり、さらに自分が苦手なwジャンプスケアを多用してホラー度もアップ😱

人間描写>ミステリー

ケネス・ブラナーがこのシリーズを通じてやりたいのは、前作でもそのエピソードが描かれた、戦争体験をトラウマとして抱えた、新しいポアロ像を作り上げることではないかと…

本作でも、彼と同じようなトラウマを抱えた人物が重要なポジションで登場します

オチはある程度想定範囲内で、どちらかというとポアロを含めた、事件に翻弄される人物たちの人間描写に重点がおかれている印象

なので、ミステリーの女王クリスティと、そこに描かれたポアロ像を期待するファンからの評価は少々低くなるかもしれません

そして今回一番注目したのが…

『ベルファスト』で主役をつとめた子役、ジュード・ヒル

本作でも引き続き素晴らしい演技を見せてくれた、まさに天才子役と呼ぶにふさわしい彼の今後の活躍に期待大

ちなみに『ベル…』で彼の父親役だったジェイミー・ドーナンが今回も彼の父親役

さらに『ベル…』同様、若者たちの未来へ希望を託す、ブラナー監督の優しい目線が本作でも感じられました

それは今回の事件の舞台になった場所が、自らの意志に反して未来を奪われた子供たちの思いが残る場所ということでより際立っていたような気がします

そんな『ベルファスト』とのつながりを含め、ケネス・ブラナーは自身の体験を反映させた人間味あふれる新しいポアロを作り上げて行くことをシェークスピア俳優としての次の目標として生きていくのかもしれません

子供たちだけでなく、自身の未来にも希望を託して✨

p.s.1
ミシェル・ヨーのとあるシーンで彼女が別バースに飛んでしまう👀のではないかと心配したのは自分だけではないはずw

p.s.2
オーバーツーリズムで問題になっているベネチア
現地にいかずともこの作品で疑似体験をということかもしれませんが…
でもヤッパリ行ってみたい😅
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