ひろぱげ

イ・チャンドン アイロニーの芸術のひろぱげのレビュー・感想・評価

-
フランス人監督 アラン・マザールによる、イ・チャンドンのドキュメンタリー。いざ撮影開始、となった途端にコロナ禍が始まってしまったため、演出はリモートで行い、撮影は韓国の制作会社パインハウスフィルムの協力によって完成したとのこと。

時代を遡る「ペパーミント・キャンディ」の構成に倣って、最新作である短編「心臓の音」の撮影風景から始まり、6本の長編のロケ地(「バーニング」のビニールハウス、「ポエトリー」の川や詩の教室、「シークレット・サンシャイン」のシネの家、「オアシス」のコンジュのアパートの屋上、「ペパーミント・キャンディ」の鉄橋、「グリーン・フィッシュ」の一山新都市)での監督インタビュー、そして出演者達のコメントで編まれている。このあたりからしてイ・チャンドンファンにとってはたまらない作りだ。(相当ネタバレがいっぱいなので、各作品を見てから本作を見るのがよいと思う)

最後、映画監督になる前の小説家の時代からさらに時間を戻し、大学生時代に起きた光州事件のこと(ちょうど虐殺が起きていたその時、仲間と花札をしていたという)、そして少年時代のことを語るイ・チャンドン。彼の人間観察の目や、物語に対する姿勢なんかを垣間見ることができる。

イ・チャンドン。穏やかで真面目、実直、そして優しく厳しい人なのだとあらためて思った。
ひろぱげ

ひろぱげ