青天の霹靂で始まり青天の霹靂で終わる、48歳の太り肉女性 エテロ の物語。
原作のフェミニズム小説があるらしい。
兄にも父にも、村の女性たちにも疎まれ、それでも日々の愉しみを持ち、街では意外な表情を見せながら一人で生きるエテロ。彼女の立場や暮らしぶりの描写がなかなか良い。
せっかく動き出した彼女の人生なのに、終盤の決断は拒絶だったのか自ら身を引いたのか。
それでもやはり、ブラックバードは「僥倖」のしるし。
劇中映るコロコロとした文字は、『ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう』でも見たあの文字。
死 (や過去の心象) を幻視するところとか、孤独だがそれなりに満ち足りた女性の生活を淡々と描くところとかは、『時々、私は考える』を想起させる作品。
冒頭からすごく地味だし、出てくるのは冴えない高齢の男女ばかりだしで、これは寝ちゃうかもと思わせておいてからの、超低空飛行な挽回がちょっと小気味好い。