トランプと、彼に成功への3つのルールを伝授した敏腕弁護士 ロイ・コーン。二人の師弟関係とその変化を描く「伝記的」映画。
監督はイラン系デンマーク人 アリ・アッバシ。
1970〜80年代のNYの風景と悪趣味なファッションを、アーカイブ・フィルムを援用しながらザラついた映像で再現していて楽しい。
ロイ・コーンは「アメリカのため、民主主義のため」と言うが、すごいジョークだ。トランプにとっての「MAGA」もそうだが、本心では1ミリも信じていないのではないかと思う。自分に都合の良いスローガンは何でも拝借し利用するのだ。
そもそも、ロイに「真実はフィクションだ」と言わせている通り、映画のどこまでが真実でどこからが創作なのかもよく分からない。
ラストの伝記作家との会話が全て。3つのルールはアメリカの振る舞いそのもの。結局、監督はトランプを通して外から見たアメリカを描きたかったのだと思う。
だから、ロイが死ぬまでしか描かないことも含めて、トランプの伝記映画としてはそんなに面白くは無い。監督の興味はそこには無いのだろう。