masososo

クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男のmasososoのレビュー・感想・評価

4.3
ただのメモ。

自分の作ったキャラクターだけど命を吹き込むのは彼が選んだ俳優たち。
完全に純粋な映画小僧。自分のキャスティングに絶対的な自信があるし、選んだ俳優を信頼し切っているからできることなんだろうな。
余計なカットをせずに俳優に自由に演じさせる。脚本にセリフのニュアンスは含まれないが多くのヒントが散りばめられている。
それを読み解くのが楽しいとはクリストフヴァルツの言葉。

キャラクターたちが生き生きとしていて魅力的。作り手の手を離れひとりでに歩き出すような。

強い女性たちが数多く出てくるがすごく自然。現在のポリコレの風潮が出来上がるずっと以前からのもの。安っぽいフェミ映画に成り下がらない。本質的に、自然に女性とは強いものだと理解している。

黒人差別にとってもそう。人種の違いなどない。平等だと本質的に理解しているからこそデリケートな問題をあくまでもエンターテイメントとして映画という形で構築できる。

タランティーノの作品は大仰な過剰とも言える演出だってあるのにそのどれもがいやらしくない。自然に感じられる。
多くの映画を参考にしているけどオマージュではない。単純により良い映画を作るための材料。道具として考えているからいやらしさがないんだろう。

それぞれの作品がやんわりと世界観を共有しているタランティーノユニバースも最近流行りのマルチバースを先駆けているしそこに無理やりさもいやらしさも無くてほんとワクワクをそそられる。

インタビューに答える関係者たちがとにかく生き生きと話す。心底タランティーノに惚れ込んでいるのがわかる。
着信があり発信者は“QT”出演依頼であれと切実に願う。タランティーノと仕事をしたいから。純粋に楽しくて魅力的な現場だから。

「もう一回やろう。なぜなら僕たちは映画作りが大好きだから。」
masososo

masososo