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クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男のryodanのレビュー・感想・評価

3.5
自分の映画鑑賞史の中での最大のトピックであり転換点となった「レザボアドッグス」。当時田舎の高校生でレンタルビデオ店で何度も何度も借りまくって見てた作品。「レザボア~」の内輪ネタは最高に面白かった!Mr.ブロンドのダンスシーンはやっぱり印象的だからね。タランティーノ作品の特異なところは低予算でチープな作品で撮り上げたとしても、タランティーノの世界観は成立するというところ。それもこれも魅力的な、あのダイアローグがあるからだ。そして時間軸を入れ替えることで生まれるメリハリ。見ている側を常にスクリーンに釘付けにする一種の魔法だ。各シークエンスで区切って時間軸をずらすから、役者の芝居の感情ももっていきやすいし、クオリティーも段違いに上がる。スゴイ事考えたね。ただ、タランティーノだけを愛していたわけではなく、同時期の新たな才能にも心奪われていたのも事実。ウォシャウスキー兄弟(今は姉妹か)やW・カーウァイ、北野武とかね。実際タランティーノ熱は「キル・ビル」シリーズで長いこと終わっていたからね。大御所映画監督と認知されている昨今、ようやく「キル・ビル」以降の作品を見始めた感じだし。確かにスケールアップして映画の厚みも桁違いだ。奇をてらった時間軸のいじくりも少ない。それでもなお自分の中では大御所映画監督としてはどうも違和感が残る。やはり自分のタランティーノ愛の原点である、「低予算でチープな作品で撮り上げたとしても、タランティーノの世界観は成立する」という持論が揺るぎないからだろう。
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