れーちゃん

ニンフォマニアック Vol.2 ディレクターズカット完全版のれーちゃんのレビュー・感想・評価

4.2
ジョーは唯一本気で惚れた相手と関係を持って以来、不感症になってしまう。
不感症から抜け出そうともがきながら、色情狂である自分と向き合おうとする人間らしさ溢れるストーリー。
しかし!これはただの「色情狂」映画ではない。

「プロミシング・ヤングウーマン」を観て、よくできた男性への警鐘映画だと思ったが、こんなところにもっとすごい警鐘映画があったではないか!と衝撃を受けた。
トリアーはただ、やりたいことをやっているだけの監督ではないなと、確証した。
(ただ、このメッセージのために4時間ものの超大作を作るあたりすごいなとは思う笑)

自分を病気なのだとセラピーに通うようになったジョーがあるときハッとする。
「私はニンフォマニアックよ!!」と叫び散らかすシーンが個人的には好きだ。

トリアーの意図としては、このシーンの前後の演出を見る限り、「精神病からはそんな簡単には抜け出せない」といっているようにも思う。

けれどもうここまで振り切れていると、もはや応援したくなってしまう。そんなに好きならいいではないか!あなたは正真正銘のニンフォマニアックだ!とこちらが肯定したくなるのだ。

色情狂である自分の人生を全うしているジョーを観ている観客からすると、気持ちは理解できないが、好きに生きてほしいと思えてきてしまうのだろう。

ただ、この映画をポルノだと思ってニタニタ観ている人間がいるとも思っている。
トリアーの狙いはそこにもあるように思うのだ。「善人のフリして話を聞いてないかい?実はあなたも。。」と言わんばかりに。

個人的には、トリアー作品の中でも上位に入る作品。鬱三部作と言われているが私は全然鬱を感じなかった。カラッとしていた作品だった。
れーちゃん

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