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ニンフォマニアック Vol.2 ディレクターズカット完全版のinazumaのレビュー・感想・評価

4.5
「ラース・フォン・トリアー レトロスペクティブ2023」…12作目🪞

偶然が重なり延長戦となったトリアー祭ですが、本当の本当にこれで終わりか。

最後を飾るはゲンナリ激痛&頭パニック大長編。疲れた!!

第7章「鏡」に入る直前だったか、セリグマンの部屋にある鏡が映ったとき、撮影クルーがバッチリ鏡の中に映っているという、頭を抱える演出(?)で僕の疲れた脳がパニックに…ワザととしか思えない映り方でしたが、あれはどういうことなの。。これはメタ映画なのか?『ボス・オブ・イット・オール』でもガラス窓にバッチリ監督が映って「映っちゃった😆」とか言ってましたが、あのノリ笑?
…それとも「重くて辛い話だけど、これ全部ウソだから!」と監督が監督自身に言い聞かせるためにやったのか。鬱映画3部作の最終作ということもあり、監督なりのセラピーなのか?ただでさえ情報量が多い物語なのに、いろんなこと考えてしまって更に疲れた。感情だけでなく脳まで揺さぶってきますか。。

追い打ちをかける激痛シーンの数々。
本作の白眉であろう堕胎のシーンは強烈すぎて目を逸らすことを忘れ、じーっと見つめていました。清潔感のある白い部屋と、きれいに洗浄された器具が生々しい。赤い血がすごく映えてました。これまたシャルロット・ゲンズブールの痛がる演技が上手すぎて、女優魂から本当に実践してるんじゃないか不安になる。この鬱映画3部作では堂々の皆勤、肉体も精神も破壊されて本作ではお腹の子まで…もうこの人は見るだけでどっと疲れる。

パニック&ゲンナリの繰り返しですが、笑える部分もちゃんと用意してくれてます。意図してるかどうかは別にして。。
黒人3Pのくだりが1番でしたかね。彼らの言語が分からず終始キョトンとした表情のジョーが最高でした。"サンドイッチ"の迫力は凄まじいものでした。ただその直後「ニグロ」と差別的な発言をジョーがするわけですが、いよいよジョーという人が分からなくなってきます。タランティーノの『ジャンゴ』とかでこの言葉の酷さは教えてもらってるので、以来出てくると「あっ…」となるんですが、ジョーは平気でサラッと言って、セリグマンの非難に対して「思ったことは正直に言うの」みたいなことを返してます。善悪がハッキリせずジョーというキャラクターにどんどんモヤがかかっていきます。それと並行してセリグマンもVol.1でみられた余裕はどんどん消えていきます。Vol.1のジョー&セリグマンの関係性がすごい好きだっただけに寂しい!

デフォー&ゲンズブールの『アンチクライスト』コンビのツーショットにはニヤニヤ。しかも"あのシーン"までやろうとしてて、「おいおい待て待て待て!」と超焦りました。サービスなんでしょうが、、監督、余計疲れます。。

あと、、
ウド・キアあれだけかい!!!悲
常連ジャン=マルク・バールの怪演に免じて許します!

鏡の件だけはハッキリしたい…
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