あんがすざろっく

ザ・クリエイター/創造者のあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
3.9
日本愛を感じられる映画。
というより、東洋文化なのかな。

タランティーノが映画オタク愛を爆発させる監督なら、ギャレス・エドワーズは日本愛を散りばめる監督なのでしょう。
まだ「ローグワン」しか見てないけど。
でもゴジラも撮っているあたり、日本に思い入れのある方に間違いないと思います。


近未来。
人間とA.I.の戦争が激化。
それは結果的に、西側諸国と、人類とA.I.が共存するニューアジアの衝突も避けられない事態も意味していた。
高度なA.I.を作り出したニルマータ(クリエイター)の居場所を見つけ出した軍は、元特殊部隊隊員のジョシュアを送り込み、抹殺を試みるが、そこにいたのは、A.I.の少女だった…。



僕の大好物のSFテイストが作品全体から匂い立ってきます。
そして、背景などから感じる世界観が、モロに「ブレードランナー」。
ブレランからの影響は明らかですが、その根底にあるのは、やはり東洋文化なんですよね。
「AKIRA」や「第9地区」「ターミネーター」などのSF傑作と同様に、現実の地続きと絡み合いながら、混沌とした未来社会を見せてくれます。

主人公のジョシュアのキャラクタースタンスが良くて、彼は最初から正義感が強い訳ではないんですね。
どちらかと言うと感情的というか、自己利欲を優先している感があります。
それは妻に対する想いがあってこそ。
人間臭いキャラクターなんです。
そのジョシュアが新たに守るべき存在を見つけるまで。
ジョン・デヴィッド・ワシントン(「TENET」も良かったですね)が熱演してます。

ジョシュアの妻マヤを演じたのがジェンマ・チャンですけど、この人は本当に美人😍
「エターナルズ」でもとても魅力的でした。
そのマヤが隠していた真実。
果たしてジョシュアはマヤと再会できるのか。

ジョシュアとマヤと共に戦ったシミュラント(模造人間)のハルン役には、我らが日本のトップスター、渡辺謙。
カッコイイですなぁ。
今回は目立ったアクションは少なかったものの、彼が登場すると画面が絞まるというか、説得力が格段にあがるんですよね。
ケン・ワタナベとヒロユキ・サナダは、もう世界的に知名度高いんじゃないですか。

A.I.討伐の軍を率いるハウエル大佐を演じるのは、アリソン・ジャネイ。
女性でありながら、叩き上げの軍人の風格がバシバシ感じられます。

物語のキーを握るA.I.の少女、アルフィーを演じたのが、マデリン・ユナ・ヴォイルズ。
本作がデビューですね。
彼女が様々な能力を身につけていくのですけど、その描写は正に東洋独特の感覚。
エドワーズ監督にとって、何かを信じる姿を描くことが大事なんですね。

「ローグワン」もそうでしたけど、監督は地上戦の迫力を描くのも上手い。
橋を使ったシーンは、かの戦争映画の名作も思い出されます。

劇伴がハンス・ジマー先生で、「ブラックレイン」を思わせる和のテイストが、異国の雰囲気を醸し出しています。

またディープパープルの「Child in time」や
レディオヘッドの「Everything in its right place」など、音楽の使い方も印象的です。


ツッコミどころは結構あるし、ラスト近くの何でもあり感がない訳でもないけれど、観ている間は充分楽しめるし、ビジュアル的に好感の持てる作品です。
もう一度見たら、もっと好きになれるかも。

同じ雰囲気の「アフター・ヤン」も見たくなりました。


今回吹替版を観たのですが、エンドロールのあの演出は、字幕版も同じだったのかな。
だとすればエドワーズ監督、本当に日本が大好きなんですね。
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