矢野竜子

違国日記の矢野竜子のレビュー・感想・評価

違国日記(2023年製作の映画)
4.2
ちょっと長すぎるけれど
境界が立ち上がる瞬間、
境界が消失する瞬間を捉えた
境界にまつわる映画で素晴らしい。
冒頭、早瀬憩の後ろ姿から始まり
すぐに前の姿が映されるように
1人の人間の中にも境界はある。
その他、大人と子供、男と女、恋人と友人、
現在と過去、現在と未来、
とにかく様々な境界が登場するわけだけど
物語が展開する契機となる
餃子パーティーのシーンが素晴らしかった。
あのシーンで初めて3人という関係性が
肯定的に描かれ、境界が消失する様が
捉えられている。
高木正勝の音楽も相まって泣いたけど
多分泣くシーンではないと思う。
最終的に表札に境界線が引かれるように
境界が消失してなにかを分かち合うことだけが
素晴らしいことではない。
自分と他人は異なると認識すること。
自分は自分、他人は他人と
認め合うという大切さ。
撮影:四宮秀俊、照明:永田英則の
名コンビ芸が随所に炸裂している。
特に体育館のシーンなどヤバい。