原作が好きすぎて「ここ削っちゃうんだ…」とか、同様のシーンがあっても「この台詞言わないんだ…」と少なからずなる。冒頭で朝と一緒に遺体確認するシーンで、もう私の知ってる槙生ではなかった。彼女は子供という守るべき存在にそういうことをさせない人なのに。
あの怒りや、あの連帯をもう少し見たかった。あと、私の中で笠町くんは鈴木亮平なんだよな。醍醐と槙生の過去や槙生とえみりの母、男らしさから降りた笠町くんも見たかったなぁ。
別の一つの作品として見た方がきっと好きになれる。好きなシーンはたくさんあった。ずっとあの人たちを見ていたい気持ちになる引力はたしかにある。
何より、朝ちゃんのキャスティングが素晴らしい。よくこの雰囲気を纏える子をキャスティングしたな。どこかちょっと揺蕩うような雰囲気。中性的で、無邪気な浅はかさもある。そして弱さも自信も纏える人。どうかそのままでいて、と願わずにはいられない。良い大人たちとだけ出会えますように。
体育館に響く「なんちゃって」の哀しみ。
屋上での叫び声と、それに呼応する遠吠え。
3人で歌う「忘れ物はなんですか」
なにこれ、と言いながら握る母の手。
変わらない、変えたくない、と絞り出す声。
警察署で朝が指を動かしているシーンがある。韓国映画の「はちどり」を想い出した。
夏帆さん見ていると海街ダイアリーを思い出す。中高生とのあの距離感を演じたら右に出る人はいまい。
原作があるものに関しては、映画→原作の流れで見る方がいちばん平和的解決なんよ。