寝木裕和

ペルリンプスと秘密の森の寝木裕和のレビュー・感想・評価

ペルリンプスと秘密の森(2022年製作の映画)
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「なんでぼくたちは争い合ってるの!?」

中盤の、クラエとブルーオが抱きあうシーンで胸が締めつけられる想いがした。

と同時に、これは大昔の寓話ではなく、現代の話しなのだとこの時理解した。

… 個人的なことだけれど、突然、忘れていた幼少のころの出来事を思い出した。

名古屋市緑区、自分の故郷にとても広大な森が、かつてあった。
かつてあった… というのは、今では「名古屋第二環状自動車道」というものになっていて見る影もないからだ。
でもそこには元々、リスや孔雀などいろんな生き物がいて、幼い自分にその森は様々なことを教えてくれた。

その森が、人間の便利さのために惨めに破壊されていった時、まだ世の中のことをなにも知らず、無謀だったクソガキの自分。
ブルドーザーの前に走っていって制止しようとした自分は、今はどこにいったのだろう。
(この映画を観て、あのときに負ったふくらはぎの火傷の痛さまで感じた気がした。)

… この作品の中でかなり重要な曲として何度も登場する、Milton Nascimento の歌詞に、大事なメッセージが込められていた。

「誰の心の中にも子どもの自分がいる。
大人の心が迷ったとき、その子どもの部分があなたに勇気をくれる。」
寝木裕和

寝木裕和