ビンさん

怪物の木こりのビンさんのレビュー・感想・評価

怪物の木こり(2023年製作の映画)
2.5
三池崇史監督の最新作は、このミスで大賞受賞したという、倉井眉介氏原作の映画化。

サイコパスにて弁護士でもある二宮(亀梨和也)は、知人のこれまたサイコパスで医師である杉谷(染谷将太)と共謀して、悪いことばっかりやってて、それを嗅ぎつけた邪魔者は、あっさり殺してしまう。

そんな折、斧で頭部を破壊する連続殺人事件が起こる。
事件の捜査に当たるプロファイラー戸城(菜々緒)、乾刑事(渋川清彦)たち。

その犯人と思しき奇妙な仮面を被った謎の人物に襲撃される二宮。
何故彼は襲われたのか。
仮面の男の正体は。
戸城たちは事件を解決できるのか。
というお話。

殺人も厭わぬ二宮という人物が主人公なので、いわゆるピカレスクロマンなわけだが、物語の比重が彼だったり、戸城だったり、全体的に散漫な印象が否めない。
二宮がサイコパスになった理由も、開巻早々のエピソードでさらりと触れているので、その後の意外性によるサプライズも薄まってしまったのは致命的かと思う。
原作は未読だが、そのあたりの棲み分けは巧くできているのだろう。
ただ映画は登場人物のエピソードを羅列しているので、減り張りに欠けるのだ。

たとえば、プロファイラー戸城を主人公として描いて、二宮という人物を浮き彫りにしていく、という描き方でも良かったのかもしれない。

もしくは、ピカレスクロマンであるなら、二宮を主とした内容を貫くとか。
主軸がブレるので、二宮の婚約者(吉岡里帆)なんて、まったくの添え物でしかないのは勿体なく感じた。

三池監督作品は、僕の肌に合う合わないの振り幅が大きくて(阪本順治監督も同じく)、いつも鑑賞する際はそういう意味でスリリングなのだが、今回は残念ながら合わない方の三池作品だった。
ビンさん

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