SANKOU

パッチギ!のSANKOUのレビュー・感想・評価

パッチギ!(2004年製作の映画)
5.0
画面を通して作り手の熱が伝わって来て、思わず目頭が熱くなるシーンが多かった。冒頭の在日朝鮮人の生徒たちがバスをひっくり返すという過激なシーンから画面に釘付けになった。エンタメ性が強い作品ではあるが、しっかりと社会的なメッセージを伝える作品でもある。60年代という若者たちの中で社会に対する怒りが今とは比べ物にならなかった時代の、日本人と朝鮮人の間にある深い溝。個人がどうとかではなく、日本人だから、朝鮮人だからというだけで憎み合い争いになってしまう悲しい現実。喧嘩のシーンが多い中、康平とキョンジャが在日朝鮮人の人達の前で「イムジン河」を弾き語るシーンには胸が熱くなった。どんな理由があろうと歌ってはいけない歌などない。「イムジン河」という歌には、それだけで人の心を打つ何かがあるなと思った。パッチギには頭突きの意味の他に乗り越えるという意味があるという。いつか国とか民族とか関係なく、色々な壁を乗り越えてひとつになれる時代が来たら、そんな想いを抱かせる映画だった。
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