「聞こえますか。」
作り手が直接私たちに投げかけてくる。
観るという支援。
久しぶりの東中野ポレポレ。
骨のあるラインナップの中でも、祈りに近い訴えを感じたこの作品。
作られること、
観てもらうこと、
伝え、広げることに意義のある本作を鑑賞しました。かなり満席に近い盛況でした。
2021年2月1日、軍のクーデターにより軍政が復活し、民衆の抗議デモは弾圧され、
人々の自由と平穏な生活は奪われてしまう。
当初こそ、日本でも弾圧される民主運動の様子などがニュースで報じられていたが、
ウクライナのこともあり、関心は薄らぎ、報道も途絶えてしまっている。
しかし、軍の弾圧は日増しに激化し、政治犯支援団体の発表によると、逮捕者は(今年7月)23870人、3000人以上の犠牲者が出ている。
にもかかわらず、日本政府の対ミャンマー政策は、、
今年、軍政が任命した外交官を受け入れ、欧米に比べ経済制裁にも消極的であるなど問題が多いと感じる。
さて、そんな軍政の中、この映画は、ミャンマーの映像作家たち10名が匿名で撮影したものと、SNSに投稿された記録フィルムを繋げ、各国の映画賞に参加できるように60分を超える映画に編集し、公開したそうだ。
観た後、珍しくプログラムを買って、じっくり読んだのだが、
ちょっと後悔、、観る前にある程度の情報を入れて、観た方が楽しめた、深く考えられた、と、、、、
というのも、この作品には、前述したように、デモ弾圧や一般市民宅に軍部がやって来て、逮捕していく衝撃の映像が出てくる。
「お父さんを連れて行かないで!」泣き叫ぶ子供を無視して、市民を逮捕するスマホ動画と、「何を撮っているんだ!」と、
それを遮る軍人。
これらの記録だけでも十分意味があるのだが、
そのほかに、国内の映画作家たちが撮ったミニドラマが挿入される。
私は最初、このミニドラマの繋がりが分からず、戸惑ってしまった。
一つずつのお話は独立しているので、これから観る方はご注意を。
戸惑いもあったが、それらのミニドラマも軍政の元、役者さんの顔は映さない。
亡霊、夢の話、ビニール袋で覆われた顔
そして、自由を求めて、森の奥へ奥へ向かうラスト、、、
そこには自由と普通の生活を奪われたミャンマーの人々の叫びがあった。
(もう少し最初から分かっていたら、観ている時にそれらをもっと強く感じられたのに、)
昨日までの自分にできること、
これを観て、伝えること。
今日からできること、それを模索していく夏にしたい。
本来のスコアとは、違うが、より多くの方に知ってもらいたいという願いも込めて、