MasaichiYaguchi

バジーノイズのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

バジーノイズ(2023年製作の映画)
4.0
むつき潤さんによる同名コミックを、「JO1」の川西拓実さんと桜田ひよりさんの共演で風間太樹監督が実写映画化した本作は、行き先の見えない若者たちの出会いと、末来を見つける姿をDTM(デスクトップミュージック)を交えて描いていて心の琴線に触れる。
マンションで住み込みの管理人をしながら、自分の頭の中に流れる音楽をPCで形にし、部屋でひとり奏でることに没頭する青年・清澄は、人と関わることをせずシンプルな生活を送っている。
そんな彼に、上の階に住む女性・潮は挨拶をしてくる。
そして失恋したばかりだという彼女は、毎日清澄の部屋から漏れ聞こえてきた彼の音楽を楽しみに聴いていたと話す。
自分の音楽を誰かに聴かせようなどと思っていなかった清澄だったが、潮が何気なく投稿した演奏動画によって、彼の世界は大きく変わり始めることになる。
人気ボーイズグループ「JO1」の川西拓実さんが清澄、桜田ひよりさんが潮役で夫々主演を務め、潮の幼馴染み・航太郎役で井之脇海さん、ベーシスト・陸役で柳俊太郎さんが共演している。
この作品では「青」がキーワードになっていて、主人公をはじめ他者との関わり方に難を抱えた生き下手なキャラクターたちの孤独や哀切、優しさ等を象徴する色になっている。
人付き合いを恐れる清澄、距離感を誤りがちな潮、自主性のない航太郎、攻撃的な物言いをする陸、性格も立場も異なる彼らが音楽を通して交わり、理解し合い、互いに勇気を与え合う展開に、何とも言えない温もりと共感を覚えます。