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バジーノイズのプライのレビュー・感想・評価

バジーノイズ(2023年製作の映画)
3.8
たった1人の空間で音楽に打ち込んでいた青年が、1人の女性との出会いが発端で才能が世間に認知され始め、変わりゆく日常の中で関係者たちの移ろう心情を描いた音楽ドラマ。

登場人物たちが音楽及び他人と向き合う描写が素晴らしい。全ての登場人物の意思が尊重できる。主要人物のうち誰かの意思を正しいものとして劇中内で示すことはなく、主人公とヒロインですらエゴ及び独りよがりと言い切って意思を通しており、その上で成り立つ意思の結び付きが健全で尊いものだと思わせてくれる。意思疎通の真理に迫るような作品。

桜田ひよりさん演じるヒロインが川西拓実さん演じる主人公の部屋に入るためガラスをぶち破る強硬手段といった、原作が漫画であるが故の二次元的な表現をそのまま用いるのは頂けない。コメディならアリだけど、真面目なドラマでは実写ならではのリアリティが損なわれている。インパクトを残したい気持ちは分かるけど。主人公の部屋の窓またはドアに鍵が掛かっていなくて、そのまま入室してしまえばよいと思ってしまった。

主人公のライブに来た客層の男女比が1:9ぐらいなのにゲンナリ。主人公の手掛けた曲が心に届いたのは女性ばかりだったのでしょうか?劇中人物の男性たちも主人公の曲に魅了されてるから両性に届いてのは間違いないけど、ライブが女性客ばかりだと主人公の曲が本当に広範囲へ届いてるのか説得力がない。私自身は男性であるため、ライブのシーンを観ていて主人公が奏でる音楽に癒されながらも複雑な気持ちになった。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐
星の総数    :計15個
プライ

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