はる

ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワーのはるのレビュー・感想・評価

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これを見たら映画の見方がまるっきり変わってしまうと、男の僕は危惧して怖くて、それでもやっぱり見なきゃ行けなかった。新しい目が増えたような感じ

ショットに込められた意味ぐらい自分でわかっとけよ、いやそれがそもそも男性の眼差しで構成されてるけどそれで本当にあんたのやりたいことは正解なの?という問いかけ

女性の体を滑らかなスローモーションで移したり、客体化される女性の構図が決まってたり、脈絡のない搾取の為だけの身体を描いたり、集められたおぞましい集積。
今までの映画の歴史が男性主義的って言うのは否めなくて、それを否定してしまうと映画そのものを否定してしまうんじゃないの?という主張に対して、そんなことが映画なら捨てちゃいなよとはっきり言ってくれたのがとても安心した。

カウンター的に男性の眼差しを描いているものもあるというか、そういったものだと思っていたけど記号的に描かれた女性の振る舞いは、結局客体化された個人でしかなくて、意志を持って自由を確立していくという描かれ方の中にもどこかしら支配的な引力がかかっていることもあることを思っていた。

男性の視線が全く入ってこないインタビュー、引用される映画で山ほどみるからなのか、男性がインタビューに応じないからか、一方向的な語り。見ている男性からするとだいぶ辛いよなぁと思う、好きな映画の男性性を暴かれ、あんたらの好き勝手には差せないと言われる。でもそれに対して俺らだって辛くてと返してしまう見当違いな主張を吐き捨てたい。それでもまだ優位的に立とうとする醜さを消し去りたい。洗脳に対抗するための洗脳、映画内で暴かれた事実に盲目的になることよりも世界に巻き込まれていくことの方が重要なんだと思った。

アニエスヴァルダの引用ものすごく納得した
男性と女性の裸が均等に描かれる、見るがいいさ、私たちも見るから
はる

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