このレビューはネタバレを含みます
妻の出産に立ち会うため病院を訪れたデイビッド(ジョエル・キナマン)の車に突如銃を持って乗り込んできた謎の男(ニコラス・ケイジ)。支離滅裂な男の命令でわけもわからず車を走らせるデイビッドだが、やがて彼の目的が明らかになり…。
『ロングレッグス』に匹敵、というか尺で言えばその倍以上のニコラス・ケイジの怪演を堪能できる一作。見どころはほぼその一点と言っても過言ではない気がする。とにかく彼が奇妙奇天烈な言動や変顔を見せる度、ジョエル・キナマンが怪訝な顔をする、というワンパターンのニコラス・ケイジによるスベり芸大会がひたすら繰り返される。
“見知らぬ他人との間違われ型サスペンス…かと思ったら…”という物語展開は、“汚れた過去をなかったことにできるのか”というテーマを描くものとして振り返れば理解できなくはないが、どうしても後出し感が強いし、ニコラス・ケイジ以外の映画的な手数の少なさを感じた。全ては主人公の罪悪感がもたらした幻想だった、くらいのニュアンスがあったらもっと面白かったのではないかと思う。