このレビューはネタバレを含みます
<貴公子>の設定以外に、もう一声。
何らかの要素が突出していれば。
格段に面白く感じたであろう映画でした。
【良かった点】
・<貴公子>のキャラ設定が、抜群に面白かった
→敵か味方か、善か悪か。予測不能な立場の妙味
→いつどこでどう現れるか解らない不気味さ
→大胆不敵にほほ笑む<スマイル>の底の知れなさ
→化物的な体裁を取りながらも、めっぽう弱い部分も見せる落差
【良くなかった点】
・ノワールとエンタメ要素の振り切りが弱く感じた
・話の中心になる拳闘師マルコが、ほぼオブジェ
・開始から、話の目的や主題が見え辛い展開
・最後の戦闘は良かった。
しかしここでこそ<スマイル>だと思う
韓国ノワールにしては、軽めの空気感でした。
エンタメとしても、思い切りが弱めに感じます。
<貴公子>が突然、笑顔で不意に現れるのは。
往年のホラー映画のオマージュを感じました。
あんな現れ方をして「友達だ」と言われても。
何を言ってるんだという話です。不気味です。
不気味さが、物語の良いスパイスになります。
映画の旨味まで、少し長かったかな。
中盤のマルコと<貴公子>のチェイスから。
映画のギアが、かかったような気がします。
そこから後半は、銃撃戦もあって楽しめます。
しかしクライマックスの戦闘シーン。
そこで<スマイル>でしょう?
前半で印象付けた<スマイル>の設定が、もったいないと感じました。
狂ったような満面の笑みを見せながら。
スロー演出でバスバス銃をブッ放してくれれば。
それだけで★1つ分の満足度はあったかもしれません!
艶色の乗った、画面の色彩は良かったです。
全体を覆う、調和の取れた色の調子。
人物のビジュアルやルックは楽しめました!
中でも、会長の愛人の娘がキュートでした!
顔立ちも良く、一目でわかる愚かさを纏って。
制服姿で拳銃を構える場面は、良かったです!
もう少し、彼女の活躍を観たかったです。
序盤から中盤まで、話が見えなかったので。
もう一回見たら、満足度は上がりそうな作品でした。