NaokiAburatani

変な家のNaokiAburataniのレビュー・感想・評価

変な家(2024年製作の映画)
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大分昔に雨穴氏のオモコロ記事だかYouTubeで原作を見た記憶があり、これをどう映画化するのか興味が湧いたので怖いもの見たさで鑑賞。

漫画版や書籍化している原作版に関しては未読なため、それらの忠実な映像化かどうかは知らないので、的外れな意見かもしれないが、全体的な感想としては、「う〜ん、雑!!(笑)」

原作の面白かったポイントは、変な間取り図から説得力があるんだかないんだか良く分からない荒唐無稽な話に繋げていく過程と、真実を藪の中のままとする都市伝説のお決まりを守っていたことにあったように思う。

が、今回の映画においては佐藤二朗が間取りに関する謎を全的中させてしまっており、原作の面白ポイントの半分である事実かどうか分からない部分を最近邦画ホラーで流行りの田舎の土着信仰を下敷きにしたオカルト成分に置き換えていた。この部分がかなり取手‥もとい、とって付けたようで雑に感じた。


主人公が謎を暴く為にあらゆる場所にカメラ回して不法侵入する姿はNetflix映画「呪咀」を思い出したが、彼らのやってることも十分犯罪なんでは‥散々暴き倒した後で「知られたくないこともあるだろうから」と警察に届けない倫理観の方が謎だった。
あんな白目向いてたCreepy Nutsは完全に死んだと思っていたが、生きてたんなら「まじもんじゃねえか!」って主人公にキれ散らかす前にまずは警察に通報して病院行け。
なんで登場人物はもれなく頑なに通報しないんだよ。

本家は明治から続く名家で裕福という設定なようだが、現代日本の長野の山奥で今なお何を生業にしているのだろうか。考えられるのは度々登場していた洗脳薬‥というかシャブだろうけど、どちらかというと山の中で大麻とか阿片栽培してた方がまだ説得力あるような気がした。でも注射してたしなぁ‥其の辺の説明がないからよく分からなかった。
高嶋政伸は金が目的と言っていたが、あんなボロボロで大して広くもない山奥の平屋家屋の本家が持ってる財産なんてたかが知れてると思うし、やはりあの村のどこかにブレーキング・バッドばりのメス精製所があるはず。と、いうことは裏社会とも繋がりがあるだろうと佐藤二朗ばりの妄想を負けじと頭の中で展開したが、そんな言及は特になかった。
現場に到着してから実は失踪者が多数いること明かされた主人公が可哀想だった。

色んな人が急に大きな声出すからそこにはビックリしてしまうんだけど、それよりも佐藤二朗の怪人物の演技見ている方が不安な気持ちになってしまった。

変な家の棚の下の通路が実は養子を匿うためのシェルターだったということで、愛がある家なんだ、と言われていた回想シーンで、生後わずかな赤ん坊を大人用ベッドに一人寝かしつつ、養子には部屋から出るなと言い聞かせて田舎に帰省してる姉夫婦に「そこに愛はあるんか?」とかツッコんではいけないのだろうか。
無理矢理良い話にしなくても‥

変な家は売りに出す前にまず色々なところ修繕した方が良かったと思うけど、自分たちの現状を誰かに気付いてもらいたかったということか?先に不動産仲介会社か本家に気付かれそうだし、なんの為に売りに出していたのか理由もよく分からなかった。

1番笑ったのは、母親の住む団地の襖の裏にわざわざ壁改造して仮面とお盆に乗った注射器(洗脳薬入り)が飾られていたこと。借家だったら修繕費高くつきそう。

妹の目的は姉を見つけることで本家にいるの確認したんだから、呑気に怪しい家で推理したり、家捜しする暇があったら逃げた方が良かっただろうに。その後主人公達をわざと捕まらせるための逆ご都合展開は百歩譲って良いとしても石坂浩二は何故高嶋政伸の頭をかち割って左腕持ってったのだろうか。仏壇の穴を「よいしょっ‥」と潜って帰っていく姿に笑ってしまった。後チェーンソー婆さん。

結局あの村は死んだ当主の妾をどう思っていたのだろうか?仏として祀って祭壇作ったり、仮面をたくさん作ったり、毎年左腕を捧げたりしていたけど、不幸を回避するだけで恩恵が一切受けられないのは労働に対する対価に見合ってなくて大変だなぁ。
本家滅亡したんだからもう左手いらなくね?結局呪い・洗脳は解けていないということ??二人目の左手の種明かしした時に姉妹の母親が何故まだ左手を用意しようと思っていたのか良く分からなかった。

勝手に仮面つけた人に侵入されたり、壁の中に何かいたりする主人公の部屋が嫌すぎる。不自然な程間取りがめちゃくちゃ広いのは魅力的だが、管理会社と警察にはキチンと連絡してとっとと引っ越した方が良い。

この映画を観て不動産の内見の大切さに改めて気付けました。本当にありがとうございます。
NaokiAburatani

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