ホーガン

変な家のホーガンのレビュー・感想・評価

変な家(2024年製作の映画)
3.0
「変な映画」を期待していたら「普通の映画」でした。

最初の家の間取りに関する考察までのストーリーは随分前にネットで見て、これがかなり無理のある考察だったのでそれ以来スルー。いつの間にか小説やら漫画やらクロスメディア展開が為されていて驚いた。そして今回は映画化である。

原作は未読故にどこまで原作に忠実なのか不明だったが、レビューを見るとどうも原作とは違うらしい。そこかしこで納得感の無い展開があり、これは原作無視で「間取りのミステリー」だけをいただいたのかな、と思ってちょっと本屋で原作を立ち読み。ざっと見た感じ全体のストーリーは同じっぽい。ただ、原作では真相に繋がる横溝正史的な「人間関係」が随分丁寧に説明しているにもかかわらず、本作ではそれが皆無に近い。石坂浩二は原作の横溝正史的繋がりでキャスティングされたと想像するが、ほとんど説明されずに出オチも機能せず。また、高嶋政伸の役も同じ。「間取りのミステリー」がテーマ故に、付随する人間関係のミステリーは大きく端折られた印象だ。これによって特に後半の展開は誰も付いていけないだろう。一方、全体的にもトリックは荒い印象で、本格ミステリーと呼ぶにはほど遠い。分かり易い抜け穴をそのままで中古物件として売りに出されていることに驚愕したw  あの物件、仲介業者はどう説明するんだろうw 

作り手は本格ミステリーの体裁は捨て置き、ジャンプスケア中心の田舎ホラーにジャンルチェンジしたようだ。レビューを見ているとこれに不満を持っている人は多い。ホラー映画を見過ぎてジャンプスケアにはまったく反応できなくなっている自分にその善し悪しは分からないところはあるけど、やっぱり低年齢向けとか、安易という印象を残すんだろうね。Jホラーにはゾクゾクする怖さ、不穏な空気感とかが求められている。

原作に少し触れた感じでは映像化が難しい部類に属するし、佐藤二朗がきっと笑いを提供してくれる「変な映画」を期待していたところ、どっちつかずの「(あまり面白くは無い)普通の映画」でした。佐藤二朗の建築士もさほどに笑えないし、ホラー映画であったとしても強引で無理のある物語展開には冷める。一方で「本家」や「お面」の美術は立派で雰囲気もあり、C級ホラーにまでは落ちていない。まあチェーンソーはやり過ぎだけど、それもまた笑えるから良し。

海外には通用しない中途半端なクロスメディア作品でした。
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