1999年。フィラデルフィアに暮らす生真面目な性格の女性で、浮気が原因でガールフレンドの家を追い出された同性愛者の友人ジェイミーとフロリダ州タラハシーへの旅行へ出たマリアン。道中で誤ってある「ブツ」が入ったブリーフケースを手にした二人が、それを追うギャングに追い回される中で自分を解放する様を描くコメディ映画です。
オスカーを席捲した『ファーゴ』や『ノーカントリー』らユニークな作風でキャリアを築き上げたコーエン兄弟の弟イーサンが、兄ジョエルの『マクベス』に続いて単独で制作した2024年公開の作品で、妻のトリシア・クックと共に「レズビアンのロードムービー」という彼らしい作風に仕上げるも批評家からの評判は賛否両論に分かれました。
兄弟作品では幾度と手掛けたロードムービースタイルの作品で、クィア映画でも悲劇やテーマ性を押し出すことなくユーモアで彩る様にはらしさを感じさせます。それでもあまりに行き当たりばったりな物語では下世話さばかりが強調されていて、本作とは逆の方向に向かった『マクベス』と同様に欠けたものを意識させられてしまう一作です。
