リンコロシネマ

ドライブアウェイ・ドールズのリンコロシネマのレビュー・感想・評価

4.5
【えっ⁉︎ 〜に捧ぐだって⁉︎】

コーエン兄弟の作品は『ビッグ・リボウスキ』や『赤ちゃん泥棒』などそれなりに観てるけどドハマりするほどではなかった。そのコーエン兄弟の弟イーサン・コーエンの初監督作品(初ってのが意外!)。

それでもスルーできなかったのは映画館の館長のお薦めなのか劇場のゲートを潜る前にあるトイレの壁に推薦文や写真が掲載されていたから(この劇場の特徴)ってのと映画好きな友達が「アンタは絶対に好きそう」とXで呟いていたから。

《あらすじ》
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日々の生活に行き詰まりを感じたジェイミーとマリアンは、車の配送(=ドライブアウェイ)をしながらアメリカ縦断のドライブに出かける。しかし、配送会社が手配した車のトランクに謎のスーツケースがあるのを見つけ、その中に思わぬブツが入っていたことから、スーツケースを取り戻そうとするギャングたちから追われるはめに。さらにジェイミーの元カノの警察官や上院議員までも巻き込み、事態は思わぬ方向へと発展していく。
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特に派手なガンアクションや素手格闘シーンやカーチェイスがあるわけでもなく大半はタランティーノ作品のようなダラダラした会話劇が繰り広げられる。これがまた絶妙なので飽きさせない!

しかも実にファッショナブル!

【以下はネタバレを含みます。そして下ネタ(俺の中では高尚なお話しなんだけど…)多めなので苦手な方や不快に思われる方は読まないでください。】

もうひとつの特徴としてレズビアンの性行為が赤裸々な描写で描かれる。そして実はこのレズビアンのシーンで使われている“物”こそがこの映画のキモなのだ。

ラストの爽快感はその果てしなく続く大半の不毛な会話劇とレズビアンのシーンなくしては得られないカタルシス。

劇中で流れるリンダ・ロンシュタットの「Long Long Time」や「Blue Bayou」も佳き。エンドロールの曲もかっこよかった!調べなきゃ…

そのエンドロールが流れた後に鳥肌と涙が…なんと

「シンシア・プラスター・キャスターに捧ぐ」

と字幕が流れたのだ!!

全てを了承した瞬間…イーサン・コーエンお見事としかいう以外になかった!!最高のカタルシス✨

シンシア・プラスター・キャスターは2022年に亡くなったビジュアル・アーティストであり、その独創的な作風は有名な男性のペニスや女性のバストを石膏によって型取って作品を創るという、かなり奇想天外な女性アーティストなのだ。ジミヘンの局部もどこかで公開されたんじゃなかったっけ、、、

そんな事を思いながらキャストの下調べもして、もう一度観たい作品である。