柊

月の柊のレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.1
まだたった7年くらい前の事件。
朝方、入院中の夫からメールで知らされたけど、あまりにショッキングで???ほんとの話?って思った事を覚えてる。

その事件を私達が知っている情報とさほど違わず映像化。さと君と言う呼び名も金髪や刺青や大麻とかの扱いも。
こんなにも生々しく映像化されて,まだ自分の思考が追いつかない。

結果論として決して正当化される事のないようにと思うが、誰もが自分の深い部分と向き合わざるを得ない作品でとても苦しい。
そんな作品に出演された俳優陣にまずはお疲れ様と言いたい。演じていてとても大変だっただろうし、簡単には心の整理ができなかったろうと思う。特に磯村勇斗氏に至っては…

宮沢りえが呟く,自分の生み出すものに自信が無いというセリフ。とても重くて苦しくて,大切な命を失った人にとってはそのセリフを聞くだけでも心が折れそうになる。
でもそれを支える夫,オダジョーの頼りなく見せながらぶれない存在が本当に観ている私達の心も支えてくれたような気がした。
高畑淳子はやっぱりいつもすごい。2シーンの出番ながら我が子に心がある事をちゃんと納得させてくれる。
これは相模原で起きた事件だけれど、全国にどのくらいの施設があって、どのくらいの人達が生活しているのだろうか?私達はあまりにも知らない。地域の中で暮らせない障害を持った人々の存在を私達は本当に知らない。そんな自分を戒めたい。知らない事は時として罪になる。そう思っているのに…まだまだ私は追いついていない。
柊