MMM

月のMMMのネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

みんなが触れてこなかったタブーを描いた映画。相模原の障害者施設の殺人事件を題材にして、世の中のありとあらゆるみんなが見たくない臭いものを表面化していく。
その中でも印象に残ったのが東日本大震災の話。正直、震災の凄惨さとかは色々報道とかで知ってたけど、臭いとか盗みがあったとか(本当かは分からないけど)言ってて、確かに聴いたことはないけれどもあってもおかしくないなって思った。被災しても前を向いていく人、炊き出しの列や配給を譲り合う人とか、そんな綺麗なことばかりみんな見てるけど、なんで汚い部分は隠すの??
みんなが見て見ぬ振りをしてることをズバズバ突きつけてくる。
誰だって自分の子供に障害があったら嫌だし、健常者として生まれてほしいって願ってる。その気持ちは誰にだってあるはずだし、そう思わない人はいないのに、口に出すのは憚られる。
出生前診断をして障害のある可能性のある子供をおろすって優生思想の表れだし、それでいて障害者は差別しないみんな平等っておかしいような気もする。みんな差別してないフリ、見てないフリ、関わらないようにしてるだけ。そもそも差別をしないってどういうことなのか、そんなこと可能なのか。
障害者施設の人たちは幸せなのか?その家族は?答えがないことは分かってるけど考えさせられる。

宮沢りえ演じるヨウコが最初から最後まで綺麗事しか言ってなくて好きになれなかった。でも本心ではヨウコも心のどこかで障がい者を差別してるんだろうなあ。磯村優斗とか二階堂ふみのキャラが本音で喋りまくるから、ヨウコの綺麗事が余計に目立つ。

介護士の仕事って本当に大変そうだった。入居者は介護士さんに暴力振るうし、それを抑制するのと虐待の境目って難しいよね。
閉じ込められていたお爺さんも、あり得ない話ではないよね。

とにかくあの施設がずっと薄暗くて、現実にはありえないだろうけどホラーちっくで怖かった。映画的にあり得ないんだろうけど、後ろから暴れ回った入居者が襲ってくるんじゃないかっていう恐怖があった。こういう感情も障害者への差別の表れなのかな…
あの施設に入れられた人は家族から見放された人たちなのかな?って思ってたけど高畑淳子がお見舞い来てたし、そういうわけでもなさそう。子供が真っ暗な部屋でベットに縛り付けられてることになんで文句言わなかったんだろうという疑問はある。

磯村優斗の自分は障害者とは違う。普通の人と同じなんだって必死になってるところとかすごく辛かった。最後、ヨウコは新しい命に対してどんな答えを出したんだろう。
MMM

MMM