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月のhzのネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

重心施設で10年以上働いてます。
きーちゃんのような方しかおらず、話せる人もほぼいません。ユニホームから施設の細かいところまで普段の職場を見ているようで、障害者の方々も身近に感じる人ばかりで笑顔がこぼれてしまいました。なので割と照明を暗くしただけの日常のようであっけらかんと見れました。

うちは鍵付きの個室や暴力はないのでそこは違いますが、さとくんが実行前、洋子に話していた内容は本当にうなずいてしまうことばかりでした。私も新人のときは生きてる意味があるのか、もっと救える命があるのになぜこの人達のお世話をするのか、感謝されない仕事の意味をよく考えてました。
人は殺しちゃいけないという理性が働いているだけで、なにかがきっかけで糸が切れれば暴力につながるし、その狭間で悩んでいる人はみんな鬱になって辞めていきます。自分が続けられているのは障害を理解することです。うんちを撒き散らす人も1日中職員に死ねと言う人もいますが、そういうことでしか自分の気持ちを現すことができないんだ、と理解してるかどうかでまた変わると思います。
色んな考えがありますが、私は洋子の私も障害者もここに存在してるだけという言葉がすごく腑に落ちました。
この世に生まれて存在してるから人は人を助けるし生きる意味があるんだなと。人って?生きるって?と深く考えることも大切だけど、仕事だから、そこにある命だからと大きく考えないと身が持たないときがほとんどです。誰もなりたくて障害者になったわけじゃありません。自分もなにかのきっかけでなるかもしれません。子どもも大人も障害者もみんな周りの手を借りないと生きていけません。ただそれだけのことなのに障害者の方だけが特別な目で見られてしまう現状があります。

介護施設の現状やさとくんが実行に移すまでの心情を知ってもらう映画だったので、ある程度事件のことを知ってる私はもっと深いところまで詰めてほしかったなと思いましたし、所々休憩のように入るオダジョーの話がすごく邪魔でした笑 アニメはすごくよかった!西野かと思いました。

酔った勢いで余計なこと言う陽子や、そのときの感情で夫に当たる洋子の方が怖かったです😂きーちゃんに月を見せてあげよう、紙芝居を読んであげようと作るさとくんは障害者にすごく寄り添っていて見習わないとさえ思いました。手話もできるし。しかしそういうことをする人はみんな介護を辞めていきます。福祉に理想や見返り、正義を求めたら心が破滅します。
さとくんは誰よりも寄り添っていたので施設長を始め社会全体の差別や弱者への暴力、人権を無視した介護に嫌気がさしたんでしょうね。いっそのこと障害者がいなくなればこんなことは起こらないと…。夏油みたい。そこは映画を見なければわかりませんでした。殺したいというより守りたい、救いたい、こんなことが起こる前に生まれなければいい、俺がここにいたら死んだ方がマシだ(一瞬入所者と自分を重ねるシーンがあった)、俺は困ってるみんなのためにと…。そういった理由から殺人鬼になったのかなと読み取りました。さとくんが安楽死という言葉を使ってたのもそこからなのかなと。殺したいのではない。社会全体、職員が思ってることを俺がやってやる。偏ってしまった正義感。だから社会全体が福祉や障害を理解して変わらないと同じことが起こります。

私たちはそんな中で働いてますので、もっと福祉全体のお給料を上げてほしいです!
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