もやし

月のもやしのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
5.0
テリファーを絶賛した同じ日にこの映画を観に行くというアタオカ具合…
まあ、ジャンルがそもそも違うということで、お許しを…


うーんそれとは関係ないけど、この映画あんまりレビューする気になれない…
しばらく文章考えてたけど全くまとまらない。
この映画のパワーが強すぎて少々当てられてしまった。

現代日本の最大級の思想犯罪を描くのは並大抵のものではない。
監督はとても思慮深い人なんだろうね。思慮深い人が数年かけて考えて考えて、それで突き詰めたものを映画として表現した、という普通じゃない作品。


フィクション部分だけど、宮沢りえとオダギリジョー演じる夫婦と犯人(磯村勇斗)の思想の真っ向勝負はえげつなかった。
夫婦の思想は本当にちゃんとした背景に基づくもので、犯人の思想が如何に軽薄なものかが伝わってくる。
私としては犯人の思想、言動に多少なりとも理解を示してしまっていて、それが如何に愚かなことかが伝わってきた。

でもこの映画は犯人の思想を一方的に批判するものでは全くない。序盤から中盤にかけて他の登場人物達の様々な言動、行動で、視聴者にもかなりの迷いと戸惑いをジワジワと与え続ける。この映画ではしばしば「これが現実ですよ」という台詞が使用される。

でもそうした脇役のちょっとした歪みのようなものも、犯人の圧倒的なまでの狂気の前では結果的には全部踏み潰されてしまった印象。


夫婦の非常に強固な希望と犯人の巻き起こした圧倒的な絶望の対比が印象的でした。

しかしフィクションなのか知らんが犯人の恋人はこれからどんな葛藤に襲われるのだろうか… 想像したくもない。
もやし

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