コラボ

月のコラボのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.2
 この作品は「問題作」と片付けて視野の外に追いやりたいと思わない人がいるだろうか。不愉快な目を背けている側面を垣間見せられ、居心地悪くさせられる作品。さとくんが主人公ヨウコに説いた考えに私はたぶん反論できない。さとくんの言う「心のない」人々の殺戮シーンはやや間接的な描写。そのことさえ観客への配慮というよりは、見たくないだろうから見せないでおいてやるよ、と意地悪く突き放されているように感じる。その翌日ヨウコと夫が子を生む決意と将来を約束したその時に、さとくんが引き起こした事件を知る。作中何度も現れる(夜空に光る満月はもちろん、きーちゃんの部屋の壁、振り降ろされる鎌の三日月、など)月が昼の空に弱々しく光っているところを映し出してこの映画は終わる。
 演技ということなら、磯村勇斗塩汁さとくんが凄かった。映画は後味悪く重い。