さきこ

月のさきこのネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
2.2

このレビューはネタバレを含みます

実際に自分が妊娠して出生前診断を受けるか考えていたタイミングで、産婦人科界隈で話題と聞き見に行った。自分の中の優生思想に対する考えと、自分の子が障害を持って生まれるリスクに、折り合いをつける一助にならないかなと思っていた。

演技はすごく良かった。宮沢りえさんや磯村さんはもちろん、助演の方々も良かったと思う。だからこそというか、脚本も演出も陳腐に見えた。(あと震災のシーン)

やりたいシーンや言いたいことを繋ぎ合わせて適当に間を埋めただけにしか見えない。だから、映画を見てもあらすじに書いてある以上の情報がない。あらすじに全部書いてある。
特に、人間の掘り下げが浅すぎる。あるいは、そもそも薄っぺらい人間しか登場しない話なのかな?さとくんの振る舞いに一貫性や重たいご家庭事情なんかが見えないのは当然として、主人公の洋子さんがただの自己愛ババアだなという感想しかわかなかった。言ってることとやってること、チグハグじゃない?あまりにも妊婦として、人間として、洋子さんの有り様に感情移入出来なさすぎて、マジで嫌いだわこういう頭軽オバハン、という気持ち。

洋子さんへの納得いかなさいくつもある。
まず、旦那への無意識マウント気持ち悪すぎる。あなたは耐えられないと思って1人で決断しようとしたとか、すぐ逃げられる人はいいよねとか、心底旦那のことバカにしてないと咄嗟に出ないよ。なのに自覚してなさそうで、旦那が賞受賞した時泣いてたのマジかよと思った。そんな人が他人や自分の声にならない声を書く?無理では?
あと、子の障害をめちゃくちゃ気にしてるのに、流産や妊娠中の感染によるリスクは全く想像できてなさそうで怖い。普通に妊娠初期に介護の仕事続けてるし徹夜してるし寿司食べてるし走ってる。理解不能。
というかそもそも、子供いらないなら避妊しろよ。責任感なさすぎ。やることやってんのに、いざ子供ができたら障害が怖いからおろそうと思う、って頭おかしすぎる。
などなど、徹頭徹尾洋子さんのやってることと言ってることの矛盾に納得いかなかったので、映画としては全く面白くなかった。

優生思想と中絶についてはきちんと考えた方がいいし、私はまだ出生前診断を受けるか悩んでるけど、この映画を見る必要は全くなかった。
さきこ

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