このレビューはネタバレを含みます
観ている間ずっと、問いかけられてる映画だった。
さとくんがしたことは絶対に許されない。だけどさとくんの言葉を真正面から反論することは、綺麗事なしで返すことは私にはできないと思ってしまった。自分の中にある差別意識を目の当たりにし続けているようだった。
「福田村事件」もそうだったけど、最後に起きてしまう惨劇を知った上で観るのは本当にしんどくて、それでもそのしんどさの向こうに何かあるような気がしてこういう映画を観ている気がする。それもまた欺瞞なのかもしれない。
メインの4人の登場人物は全員創作をしている人たち。主人公の洋子と二階堂ふみ演じる陽子は小説を、さとくんは絵を、洋子の夫はアニメーションを。
その創作する人ならではのピリピリと張り詰めた自意識も息苦しく感じた理由かもしれない。いつか、私も何者かになれるかもしれないという希望。何者にもなれない現実。
最後に洋子は小説を書き上げ、夫は小さいながらも賞を獲った。その喜びの一方で起きていた惨劇の構図があまりにもつらい。