Jun潤

AKIRA 4Kリマスター版のJun潤のレビュー・感想・評価

AKIRA 4Kリマスター版(1988年製作の映画)
5.0
2025.01.08

名作再上映案件。
なんだかんだ今年も再上映作品を多く鑑賞することになりそうな予感。
場面の切り抜きとか、今作のパロディシーンなどは見たことがあったものの、作品自体は見たことがなく、アニメ好きとしては今作を見ないわけにはいかないだろうということで、Clipはしていたもののなかなか鑑賞できずにいましたが、この機会に4Kリマスター版を劇場にて鑑賞です。

1988年に第三次世界大戦が勃発してからおよそ30年後、2019年のネオ東京を舞台に、『AKIRA』という謎の存在を巡り、バイクチームのリーダー・金田、超能力に目覚めた少年・鉄雄、反政府組織のメンバー・ケイ、そして軍の人間たちそれぞれの思惑が交錯し、衝突していく。

ほぉ〜?なるほど、、。
序盤にあったバイクシーンが多くの作品でパロディされてるということと、「さんをつけろよデコ助野郎」のセリフしか知らなかったので、原作漫画と今作が日本の漫画やアニメ史だけでなく、海外のクリエイターたちにも大きな影響を与えたというのは観賞後に調べて初めて知りました。
1988年という公開年的に、手書きの作画でグリグリ動かしていることに時代を感じましたが、なるほどメカメカしい造詣や勧善懲悪ではないストーリー展開、シンプルには片付けられない登場キャラクター同士の相関など、近年のサブカルチャーには欠かせないコンテンツだったんだろうなと思います。
とはいえ一般ウケが果たしていいのかというところや、現代の認知度具合からしてカルト的な人気を誇っている印象もあり、個人的にはエヴァ初見時のような気持ちになりました。
今触れているコンテンツが今作の二番煎じを超えて三番煎じなのかと思うと、もっと前の時期に観ていたら感想は全く違っていたんだろうなといったところ。

飛び交う用語や、現代のものと比べると説明の少ないSFファンタジーな世界設定についてはノリと勢いに任せるとして、大まかなストーリー展開的には金田と鉄雄の拗れた友情物語だったなという印象。
バイクチームという今の感覚からするとちょいと暴力的な組織の中での上下関係や、それぞれが持つ似た境遇からくるシンパシー、それらの間に挟まる世界を盛大に巻き込む壮大な物語などなどがありながら、結末的には少しビターな香りもしますが、心の奥底で繋がり続けていく関係性が示唆されているように感じました。

小山茉美さんや玄田哲章さん、草尾毅さんなど、エンドクレジットがローマ字表記だったので見逃した名前もあるかもしれませんが、今なお現役でご活躍されている声優さんの若い頃の演技が見れたという意味でも、新年早々良い映画体験ができたと思います。
Jun潤

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