千年女優

密輸 1970の千年女優のレビュー・感想・評価

密輸 1970(2023年製作の映画)
3.5
1970年代半ば。化学工場の産業廃棄物による汚染が深刻化する漁村クンチョンで生まれ育った海女で、責任感強いリーダーのジンソクとその親友で奔放なチュンジャ。廃業を阻止すべく培った技術で密輸品の引き上げを受けるも摘発で袂を分かった二人が、数年を経て再びタッグを組み、警察や裏組織と駆け引きをする様を描いた犯罪映画です。

記録的ヒット作『ベテラン』を始め多様なアクション映画を得意とするリュ・スンワンがソマリア内戦を舞台にした前作『モガディシュ』に続いて歴史的背景を持つ物語を描いた2023年公開作品で、軽快なテンポが受け入れられて人気シリーズ『犯罪都市』と張り合ってその年第二位の興行収入を稼ぎ出してヒットメーカーの期待に応えました。

設定故にシリアスだった前作から趣を変えてハイテンションでユーモラスなスタイルとしており、シスターフッドの逆転劇をクライムにアクション、果てはサメと韓国娯楽映画らしいなんでもござれの足し算で彩ります。粒さに見れば強引な展開もありますが、もっともらしい評論家受けなどかなぐり捨てて観客の期待に寄り添う潔い一作です。
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