毒劇法

Chimeの毒劇法のレビュー・感想・評価

Chime(2024年製作の映画)
4.5
「chime」の特性を考えると、学校のそれのように、「音」の反復によって「法」を内面化させるものと、玄関のそれのように、「法」というか、完全に規則的でないものを報せるものがある。両者を〈必然/偶然〉、〈法/法外〉という対立とすることができるかもしれない。「Chime」において、前者の特性は、料理教室での包丁のリズムや、頻繁に映される、そこの近所の電車、主人公の妻が捨てる空き缶、主人公の息子が手遊びする銀色のルービックキューブ的なにかなどの、金属音に表象される。後者の特性はSEとも作品世界の環境音とも幻聴ともとれる不気味な音色、単に玄関のチャイムに表象される。キャラクターは各々を金属音の反復によって法の内に留めているのだが、なにかの報せを聞いてしまうと、一線を越える。「chime」の2つの特性によって、ホラー映画におけるジャンプスケアなどの文法を解釈した作品だと言える。
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