いつもいっちゃん

ほかげのいつもいっちゃんのレビュー・感想・評価

ほかげ(2023年製作の映画)
4.5
海獣シアター製作と出るとやはり少し気持ちが上がる。

インディーズ製作ながらもキャストが強いことでお馴染み。
塚本晋也監督の最新作。
「野火」「斬、」に続く戦争三部作的位置の三作目。
今度は戦後日本。
前半パートと後半パートで違う人物が主となる2幕構成のようになっているが、一貫して少年の目を通した戦争の爪痕を眺めることになる。
もはや疫病のような戦争のトラウマを目を背けず真正面から観ること、聞くことになる。
戦後日本の世界観を広く映すわけではなく、ピンポイントな場所と視点、環境を切り取って映すことで、一つ一つのショットが鮮烈に残る。
音もやはり凄い。
役者陣、子役の熱を帯びた演技が素晴らしい。
趣里さんもちょっと印象も違うし、貫禄があった。
森山未來さんも狂気じみていたし、他の作品との演技の分け方にも相変わらず凄みを感じる。
そして何より少年の目は本当に凄かった。

路地裏にまで視点をちゃんと向けるのは流石、海獣シアター!
反戦映画として容赦なくも、忖度なしで描ききった塚本晋也監督三部作を劇場で見届けられたのは感無量。
2015年の戦後70年目から続いていたんだな。

必見!