伍代圭佑

ほかげの伍代圭佑のネタバレレビュー・内容・結末

ほかげ(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

塚本晋也監督『ほかげ』

太平洋戦争直後の日本。
前半は、趣里が密造酒と売春で生計を立てている焼け残った居酒屋の中。
映画の機材が小型化したとはいえ、こんな狭いなかで非常に激しいアクションをおさえたカメラワークや照明のあて方、マイクの位置、お見事のひと言。
同じく終戦直後の東京が舞台で、身よりたよりのない若い娘が「私にパンパンをやれとでもいうのですか!」などと叫んでいた映画もあった。
『ほかげ』を見ようね。

後半は趣里のところから出ていった子供が不思議な復員兵に連れられてある企てに加担する。ドキュメンタリー映画『行き行きて神軍』の主題です。

私の見る映画がたまたまなのかもしれませんが、オーバーラップを久々に見た気がします。
オーバーラップは使われるときでも「風景」とか「ロングとアップ」とか「建物にズームインしながら中の部屋に移る」ですが、『ほかげ』では特に前半、狭い居酒屋の座敷でのたうち回るかのように寝転んでいる趣里の姿を重ね合わせるというように、人の姿を重ねる使い方。ドロッとした闇の塊のような質感と重い時間が生まれる。
伍代圭佑

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