Nori

ナポレオンのNoriのレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
3.0
冒頭、マリー・アントワネットのギロチンから幕を開ける。熱狂的に迎える群衆たちの姿、議会に突っ込んでいった彼の国の数年前の出来事を思い出す。

ナポレオンも目的のためには冷酷な手段を選択する。政府に背かんとする勢力が限度を超えたとき、権力者はその市民を力でもって排斥する。お隣の大国がここ数十年にわたり得意とするところだ。

モスクワまで進軍し、何も得ることもないまま失脚の憂き目にあうナポレオン。ロシアという大国は、内部の権力闘争で施政者が変わることはあっても、他国が力でもってして制することはできないのだな、と改めて思う。2023年12月の今の状況を眺めるにつけ、絶望的な気持ちになるが、気持ちだけで現実は変わらない。現実を踏まえて、関係国は何らかの妥協をせざるを得ないのだろう。そのXデーがいつになるのか、見通すことは全くできないけれど。

ナポレオンのみの影響ではないが当時の王室中、現在も力を保っているのはイギリス位か。栄枯盛衰を感じるな。

帰宅後、セント・ヘレナ島を地図でチェックしてみた。本当に辺鄙なところにあるのだな。生きながらえることができただけ、無数の屍たちよりマシなのか。
この時代でも、歩兵は捨て駒でしかなく、数字でのみ語られる存在。そして、大なり小なり争ってしまう、人間の本質は変わらないな、と諦観をもって鑑賞を終えた。
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