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ニッツ・アイランドのKengoTerazonoのレビュー・感想・評価

ニッツ・アイランド(2023年製作の映画)
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コロナ禍で、世界中の人々がまさに自分の家という孤島に軟禁されているなか、ゾンビサバイバルゲーム内にいる住人をドキュメントする。

プレイヤーの演技に乗っかりながらその間隙をつこうとする。演技の裏側に迫ることのできるほど近づける人と、そうではない人がいるというのが、キャメラを向けている人間もやはり人間で合う合わないがあるんだよなという、当たり前のことを思い出させてくれる。

監督らもゲーム内ではいわば、ドキュメンタリー監督という役を演じている側面はあるわけで、彼らに対する質問がそのまま彼らにも直で跳ね返ってくる様がおもしろい。

プレイヤーの口から部屋の中の音や犬の鳴き声などが聞こえてきて、その生々しさと生気のないキャラクターの顔とのギャップが、客体を曖昧な位置においている。つまり、確かに本当にコンピュータの向こう側にいるのだろうけど、その匿名性は揺らぎなくて実体がつかめないのだ。

ニッツ・アイランドとはなんなのか、この島はリアルと呼べるのか、住人もよくわからないまま、それでもこの島を拠り所としているのだな。
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