KengoTerazonoさんの映画レビュー・感想・評価

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名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)(2023年製作の映画)

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哀ちゃんが活躍すると思って観たら普通にコナンが活躍してて、「哀ちゃんの映画」というのは「哀ちゃんがトリガーになる映画」というだけで、普通にコナンの映画なんだなとちょっとがっかりした。
結局哀ちゃんが攫
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殿方は嘘つき(1932年製作の映画)

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自動車を間に挟んで雇う/雇われるの関係性を上手く描いている。男女の駆け引きが女の仕事場の往路と復路で繰り広げられていて、さながらカーチェイスをみているみたいだった。

長回しも効果的だった。女が食堂の
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バットマン フォーエヴァー(1995年製作の映画)

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『バットマン』の好きだったところが全部なくなった

役者やセットはもちろん、撮り方がまるきり違う。今まででは考えられないような、ズームインによるクロースアップの仕方とか、照明の作り方とか。

あんなに
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バットマン リターンズ(1992年製作の映画)

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濡れた舗道にスチーム、逆光、画面の黒み、爆発、過剰さで埋め尽くされている

キャットウーマンはファムファタールなのかなと思いきや、最後まで男性に去勢されないところが素敵。死かセックスかという二項対立に
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息の跡(2015年製作の映画)

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ちょっと面倒な感じのおじさんなんだけど、そのめんどくささに付き合って相槌をうつ小森はるかとの関係性が段々と愛らしいものに感じられる。そして観客も小森とともに忍耐強くおじさんの話を聴いていると、段々この>>続きを読む

かげを拾う(2021年製作の映画)

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ショットポジションが低くて、アオリの多い長いシークェンスが、子どもの目線みたいで良かった。

デジタルキャメラのテクスチャが合っていた

曽根崎心中(1981年製作の映画)

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人形浄瑠璃の舞台を撮影したものかと思ったら、人形浄瑠璃で人形劇映画をやっていた。とても楽しかった。
何が楽しいって、目の前に人形たちの世界が広がっているのが楽しい。舞台ではまず味わえないから。後景には
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修羅(1971年製作の映画)

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冒頭の鐘のシークェンスや夢のシークェンスが、話が展開するにつれどんどん紐解かれていく。鶴屋南北の原作は、話だけは知っているが、100両が巡り巡って帰ってくるという大筋のみ合っている。

コントラストの
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大室家 dear sisters(2024年製作の映画)

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まず、音響が酷い。劇伴と声とヴォイス・オーバーのバランスがめちゃくちゃだった。テレビの規格で調整していたのかしらないが、聴くに耐えない音響だった。音のバランスが作品の全体性に適ったものである必要は必ず>>続きを読む

ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

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クラシカル・ハリウッド・シネマにおけるオーソドックスな脚本は冒頭約30分で物語の下準備、ベースとなる状況や設定を説明する。この映画はその30分だけ観せられ、劇場外へ放り出されるようなものだと思った。最>>続きを読む

鶏の墳丘(2021年製作の映画)

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CGIの逆張りによってCGI的な現代を皮肉っているように感じた。煙や水が随所に表現されている。CGIにおけるそれらは仮想空間へと観客を没入させるための有効な手段だ。なぜなら煙や水にリアリティを持たせる>>続きを読む

音のない世界で(1992年製作の映画)

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「音のない世界」を映しているからこそ、音がとても重要な作品だと思う。インタビューを受けている人間は喋らないことが多い。その分フレーム外の音声が際立つ。世界の中に音がない瞬間はないということがわかる。静>>続きを読む

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

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インタビューは一見シネマ・ヴェリテ的だが、作り手が被写体を挑発するわけではなく、語る姿にただ耳を傾ける。キャメラのアダマン号への溶け込み具合といい、ダイレクトに被写体が語る映画になっている。というより>>続きを読む

フェイシズ(1968年製作の映画)

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顔のクロースアップが露骨にみてとれる。ドリーインではなく、ズームインを多用しているのも同様だ。
カサヴェテスは即興で有名だが、この作品に映る顔は、ライティングの感じといい即興的というより、計算された美
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こわれゆく女(1974年製作の映画)

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全てのシーンがきつい。まるでキャラクターと同じ空間にいるかのような気まずさの理由は、キャメラのレンズにあると思った。長焦点距離のレンズであるが故に我々は物語世界を覗き込む/盗み見ることができる。キャメ>>続きを読む

チャイニーズ・ブッキーを殺した男(1976年製作の映画)

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暴力に対して誠実な映画だった。
クロースアップしすぎていて、何が起こったのかわからない。でも音やキャラクターの表情で何かが起こったのはわかる。暴力というのはそういうものなのだと思う。決してスペクタクル
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アメリカの影(1959年製作の映画)

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セックスや恋愛なんてロマンチックでもなければ綺麗なものでもないということを、美しく表現している。ラブシーンの暴力性が凄まじい。男の手つきひとつひとつが、女性を所有する方向へと向いている。男性はスクリー>>続きを読む

バットマン(1989年製作の映画)

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DCのコミックを用いてフィルム・ノワールというジャンルのパスティシュをしている。既製品をコラージュする80年代的な感覚に貫かれた作品だと感じた。
スモークや路地、画面の暗さ、派手な銃声に銃からもくもく
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狂った一頁(1926年製作の映画)

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雨が印象的。雨のモンタージュが矢継ぎ早に連なるシークェンスは、すごかった。
冒頭のダンサーの妄想も面白い。染色フィルムが効いていた。不思議な色合いだった。目が慣れてしまうと、白黒フィルムと変わらないの
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キムズ・ビデオ(2023年製作の映画)

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去年山形にて。

これをイタリア人(特に映画の舞台となったシチリアに住む人)はどのように観るのだろうか。ある意味イタリア人にとっての『コーヴ』という気もする。

映画狂とはまさにこのことで、映画を我が
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吸血鬼(1956年製作の映画)

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大味でおもしろかった。シネスコの豪華な感じもよかった。

フェイントが上手い。映画が始まって第2の犠牲者となる踊り子の女性が襲われる際、窓にドリーインして窓が勢いよく開いたと思ったらただ勢いよく開いた
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風と共に散る(1956年製作の映画)

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目も当てられないほどに気持ちが引き裂かれた。どう話が転がっても胸糞悪すぎるだろ。男性のコンプレックスをこれでもかと詰め込んだキャラクターが転げ落ちて行く様は、かわいそうというより見るに耐えなかった。医>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・スタジオ 100年の思い出(2023年製作の映画)

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セルとCGI、そして実写が同居しているのが面白い。ディズニー・スタジオの過程が同じ画面の中にスタイルとして同居している。実写とアニメーションを融合させた『アリス』シリーズ、あるいは『メリー・ポピンズ』>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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『東京画』の今、あるいは小津へのラブレターという感じがした。

私的には、『東京画』の際、「アメリカにもあるディズニー・ランドより、日本にしかないタケノコ族の方が見たい」と言って渡らなかったハイウェイ
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ウィッシュ(2023年製作の映画)

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100年という節目でこれは正直がっかり感はある。
確かにプリンスがおらず恋愛要素を打ち出していないぶん、今回のヒロインは力強い。彼女の親友はもしかしたらレズビアンかもしれないというのも、新しい試みだ。
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ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)

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ジャック・タチの完璧主義が一貫していて、心地いい。フレーム内に対する意識に貫かれている一方で、音声はひたすらフレームの外へと向かう。画面の中で言い争っている人がいても、その人たちの声はほとんど聞こえず>>続きを読む

愛・アマチュア(1994年製作の映画)

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『月曜日から来た女』の華麗なる布石な気がする。ロングアイランド・トリロジーとは違ってノワール・サスペンスという感じだが、セックスとコンシュームという主題が一貫していて、politique des au>>続きを読む

バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>(1987年製作の映画)

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黄色、赤、青、緑。砂漠の色がカフェやモーテルの色になっている。

キャメラの位置を変えるのではなく、ティルトやパンによるキャメラの向きを変えることで移動する対象を捉えているから、ショットサイズとキャメ
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王と鳥(1980年製作の映画)

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りんたろうの『メトロポリス』はこの映画のお城をCGIで作ることで、一点透視図法の特権性を権力と結びつけたわけだが、『王と鳥』に関してはその特権性を一貫させることで、アニメーションからの離脱をアニメーシ>>続きを読む

荒馬と女(1961年製作の映画)

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混沌とした映画だった。
単に男たちがモンローを囲んで彼女のセクシーさをありがたがる映画かと最初は思ったが、実際はその逆とも言えるものだった。

50年代はハリウッドの斜陽期だ。パラマウント判決からスタ
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

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悪くはないが、なんだかな。ポップな世界観と幾何学的で几帳面な構図によって色々なことを誤魔化されている気がする。はぐらかされている気がして、腑に落ちない。


50年代のデザインを砂漠に置いて、そこに西
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欲望という名の電車(1951年製作の映画)

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きつい。

朝からこんな救いようのない話を見せつけられてしまった。

落ちぶれた南部の貴族とスタートからして落ちこぼれているポーランド系移民の、互いが互いのコンプレックスを刺激しまくり、結局は男の支配
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アリス(1988年製作の映画)

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カットバックが異界への結節点となる。それは異なる論理で動いている対象を眺めるという行為でもある。

ドローイング以外の様々なアニメーションでオブジェクトを動かしているところがいい。
その中でもピクシレ
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トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

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葛藤が表にでないようにして描くメロドラマといったところだろうか、、、?ピノシュが愛によってどんどんすり減らされ、縛られ、がんじがらめになっていってるような気がした。

フィルターやレンズの歪み、極端に
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ハリーの災難(1955年製作の映画)

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かなりインモラルかつセクシャルな話題だったが、これはプロダクション・コード的にはどうだったのだろうか。スキャンダルな映画な気がする。

視線の繋がりがとても気持ちいい。映画における基本的な手法だが、シ
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マルタの鷹(1941年製作の映画)

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画面の黒みは画面の中に影をつけるということだが、それはすなわちどこに光を置くかという、明るさの選択でもある。真っ暗な画面ではなく、暗くても映える画面にするにはどこを暗くするか、どこを明るくするかという>>続きを読む

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