かえるのエリー

父ありき 4Kデジタル修復版のかえるのエリーのレビュー・感想・評価

父ありき 4Kデジタル修復版(1942年製作の映画)
3.7
娘が入学した学校に大人のサークル的なものがあり、毎月映画を観るグループがあったので入会することに。自分では絶対選ばない作品はこういうキッカケで出会えるね。

洋画好きなので邦画は積極的に選ばないが、小津&笠智衆は一度観てみたいと思っていたので、初参加が本作でよかった。




以下ネタバレ感想




講師の方から、話はともかく、差し込まれる画を逃さずに楽しんでほしいとの前説があった。なるほど、画角が美しい。ひたすらにローアングルで攻め、アシンメトリーで物凄く奥行きを感じる画は、現代の3Dなんぞ不要と思わせてくれる。ウェス・アンダーソンのシンメトリーと対極にあるが、どちらも眼福なことは間違いない。石垣や汽車のカーブが美しいこと。。。

息子はずーーーっと父と暮らすのを願っていた。でも立派な子に育てることに重きを置く父は、息子が社会の一員として立派でいることを望んだ。時代なんだろうけど、息子に共感した自分としては、父の身勝手さが些か鼻についた。生徒を亡くしたときの親の気持ちが分かるという割に、自分の息子の気持ちは蔑ろだな。ただ最期の時を一緒に過ごせた、それは息子にとってかけがえのない時間となっただろう。

1942年という時代ながらも、幾つかの「成程」があった。息子が宮城の帝大に行った=今でいう東北大=理系が強い、とか、私が県民故なのか何故か歌える箱根八里とか(笑) ただ「むじな」のくだりはよくわからなかった。狸親父ってことかな?

笠智衆。300を超えるフィルモグラフィからすると「北の国から」で見ているようだが、自分の気持ち的にはお初。結構イケメンで、意外と棒(!)なことに驚いた。今で言えば西島秀俊みたいな。とはいえセリフは当時はああいう言い回しだったのかもしれないが、上記感情もあって幼き息子の豊かな表現の方に惹かれたのは確か。

娘よ、ここに受かってくれてありがとう!母も楽しんでるぞ!