公開初日に観たけど、これは書くの難しすぎるので簡潔に。
話の系統としては『ある男』、作りとしては『正欲』にそれぞれ似ている（いわゆる羅生門形式）。この辺は予告編から何となく察することが出来るので特にネタバレじゃないでしょう。戸田彬弘監督作品としては『名前』は観たことあるけど、今回も名前はキーワード。
川辺市子(杉咲花)は、恋人の長谷川義則（若葉竜也）からプロポーズを受けた翌日に突然姿を消す。市子の行方を追い、これまで彼女と関りがあった人たちから証言を得ていくと、市子がかつては違う名前を名乗っていたことを知る。捜索を続けるうちに何故、市子はそのような人生を歩まなければならなかったのかの手がかりを得ていく。
杉咲花さん主演、思っていた以上に闇が深い人物を演じている。物語が進んでいくと市子の過去は分かっていくけど、市子の人間性はむしろ分からなくなった。人によって感想は違うだろうけど、人の深淵を覗き見するようで単純な感動や共感とは違った読後感。
検察から刑事に代わった宇野祥平さんがいたというのも、かなり『正欲』っぽいと感じた部分かも、最近は宇野さんのごま塩頭を見ていると重い映画でも少し安心する。
第三者の証言を得て徐々に明らかになっていく市子の過去は確かに壮絶で答えるものがあるけど、これから市子が何をしようとしているのかが見えてくると、え？ちょっと待ってとなりゾッとする。映画でよく観る頭がイってるサイコパスよりも恐ろしい、杉咲花さんは昔の作品はほとんど観たことないけど凄い女優さん。
