えくりぷす

市子のえくりぷすのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.5
長谷川(若葉竜也)は恋人の市子(杉咲花)と同棲していた。長谷川が市子にプロポーズをした翌日、市子は失踪する。やがて刑事が長谷川を訪ねてくる。市子は何らかの事件に関わっているのだろうか。

恋人の知らなかった過去を知る話なので、平野啓一郎の小説で映画化もされた『ある男』を思い起こした。テーマは似ているが話自体や映画の雰囲気はけっこう違う。

様々な人物の視点で幼少期から現在までの市子が語られる。なぜ彼女は別の名前を名乗っていたのか。なぜプロポーズの翌日に市子は失踪したのか。謎が次第に明らかになっていく。

かなり重い話で暴力的なシーンや性的なシーンもあるものの抑制されて描かれている。血と暴力が好きな人には物足りないかもしれないが、そういった描写が苦手な人でも見やすいかも(とはいえ、血と暴力が苦手な人は重い話の映画は見ない気がするが)。

和歌山で見つかった男女の遺体が誰と誰なのかは語られず、余韻を残して映画は終わる。なんといっても杉咲花の魅力に溢れた映画だ。特に彼女の寂しげな顔と笑った顔が印象的だった。
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