くりふ

次元大介のくりふのレビュー・感想・評価

次元大介(2023年製作の映画)
3.0
【目指せウサギ小屋スタイリッシュ】

アマゾンオリジナルだってね。邦画って未だに、メジャー作品でも当たり前にゲテモノを作るけど、どんな類いのゲテなのかに興味がわき、見てみた。

ルパン三世をやるなら、一番早いのはまずスタイリッシュにすることかと。宮崎ルパンだって、インスタント食品とカッコよく共存できちゃうスタイルをきちんと、成立させていた。

次元大介という“キャラ”も“人物”として深堀りされていないからこそ次元なわけで、スタイルから彼を創ってゆく方が近道だとおもう。

予想通り本作、邦画の苦手とするところで、スタイルがなかった。時々、挟まるようだが全体ではバラバラなので、スタイルとは言えないでしょう。それが致命的だったのではと。

それは主人公の見栄えにも反映していて、まずは次元でなく寸詰まりのトヨエツに見える。そこから時々、宍戸錠だったり長州小力だったり、たまにチャップリンだったり。

いっそ『蘇える金狼』の頃の、松田優作みたいな役者がいればよかったね。元々のモデルは『荒野の七人』のジェームズ・コバーンだったなんてこと、制作陣も忘れているのでは?

いかにも邦画的なアプローチだけど、子供は苦手な次元と可哀想な少女をペアリングさせ、弱点抱えた母親役を添わせている。で、少女を危険に晒し、最後まで惹かせるって仕掛け。

しかしこのお陰で、小栗ルパンの時よりは、結末まで興味が続いた。草笛光子さんの名サポートのお陰でもあるが、日向キャラだから映画に、さらに陰がなくなってしまったが。

泥魚街みたいな架空の街も、ルパンならアリだと思うが、これもスタイルアリが前提。ナシで泥魚街とひばり商店街をただ並べても、わかり易い惨事となる。制作陣がこれを理解できないなら、日本はネオテニー映画を作り続け、世界から置いていかれるばかりでしょう。

韓国映画が下品と共存しながらカッコよいのはナゼか?これだけ当たった『RRR』が、バカ映画を突き抜けクールでさえあるのはナゼか?邦画界だって気づいていると思うけど…。

ところで、本作での次元は射撃の名手でなく、銃弾の軌道を変えられる超能力者なのでしょう。自分のタマは殆ど当たり、敵のタマは殆ど外れる。素晴らしい能力だと思いますが。

あ、“台所アクション”には少し感心した。あの狭い場所で成立させたのは、日本ならでは。

真木よう子の役は、ちょっと期待したが、玉城ティナ辺りが演じても変わらなかっただろうね。無表情、口で喋らず、座ってるだけだから。

<2023.10.23記>
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