ENDO

彼方のうたのENDOのレビュー・感想・評価

彼方のうた(2023年製作の映画)
4.0
底流に沈んだまま浮かび上がらない物語は、隣人ですら生きてきた時間を共有することはできないという不可能性と、暴露しないという慎ましさの間で震えている。あん(春)さんの真っ直ぐカメラを見つめる視線はわずかに焦点を結ばない。彼女の中にある哀しみは、遥か彼方に存在する。人間とはそれぞれが別の宇宙を生きている。優しい相槌とは裏腹に、語られぬ心情が留め置かれる孤独は酷ではあるが、それ故にとても大切だ。路上で固まるあん(春)さんを抱きしめられるのは、同じ世界を生きる優子(雪子)さんだけ。ならばこの世界に生きる誰かの孤独に気付くよう心がけよう。
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