Jimmy

アキレスと亀のJimmyのレビュー・感想・評価

アキレスと亀(2008年製作の映画)
3.0
北野武監督が絵描きを通して「芸術とは…」を描いた快作。

亀を追いかけるアキレスのアニメから始まる本作は、絵をかくことが大好きな少年=真知寿が、父親会社の倒産→父親の自殺→里子に出される→母親の自殺→絵描き青年(柳憂怜)→絵描き中年(ビートたけし)といった人生を歩む姿を描きながら、北野武などが描いた絵画、芸術も楽しめる映画となっている。

その挿入画の中に、北野武監督作品『それぞれのシネマ』の田んぼの中の映画館の絵があったのは北野武監督のいたずら心が感じられた。

「偶然で芸術は生み出せないよ」、おでん屋が言う「芸術はまやかしでしかないんだよ。飢えた人の前に、食べ物とピカソの絵をおいてごらん。飢えている人がどっちを取るかといったら、食べ物なんだよ……」といったセリフは重い。

ただ、そういう真実はあるかもしれないが、現在自分が映画を観たり、いろいろな楽しみを持てている幸せを感じさせてくれる映画だった。
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